芝本ソリューション
5月 03

商用ドローン業界の次の潮流を読む

Commercial UAV News の主任編集者、ジェレマイア・カルポウィッツとFAAのパート107、ROI、そして現場でのドローンの使用について語る

 2017年5月3日

Hugh McFall (3DR)

ジェレマイア・カルポウィッツに率いられ、Commercial UAV News(商用無人航空機ニュース)は商用ドローン分野の権威ある声と言えるまでに成長した。このニュースはドローンが公共インフラ、採掘、土工、調査、マッピングなどのバーティカル市場でどのように使用されているかにフォーカスを絞った情報媒体である。先日、私たちはこのニュースの主任編集者のジェレミアの話を聞くことができた。彼は毎年恒例のCommercial UAV Expoでホストも務めた人物である。私たちは商用ドローン産業の現状、ドローンの実用化に関する課題、そして全米の建設会社、設計会社の立場からみたドローンの魅力について議論を交わした。

1. なぜCommercial UAV Newsを始めたのですか?あなたの目標は?

私は昔、映画、テレビ業界で働いていました。あの業界では今も空中撮影を行う時にドローンが活躍し続けています。私は様々な業界でドローン技術がどのような発展を遂げていくのかにとても関心がありました。しかし、商用ドローンの分野はまだまだいろいろなことを試している段階です。人間のいない環境でドローンが自ら充電し、飛行する、未来の完全自律型農場などのコンセプトは読んでいて面白いですが、実用化しようとするとまだまだ課題が残っています。このような課題を解決するための作業は今も行われていて、さらに連邦航空規定第107部(以下、パート107)などの規制の発達でこの分野もかなり整備されてきました。この分野の話はとても興味深く、この分野を関わる人々にとって魅力的なものとなっています。

商用UAVの分野で、ドローンに注目が集まっているのは皆さんもご存知の通りです。しかし、突き詰めるとそのような特定のツールや技術が重要なのではなく、技術の実用化や用途、どのようにして建設や掘削の専門家に違いをもたらせるのかなどに注目すべきだということが分かるはずです。そのような可能性について調べてみると、とても興味深いですよ。

2. 「2017年、商用ドローンについての7つの予想(7 Commercial Drone Predictions for 2017)」という素晴らしい報告書にて、あなたは企業がドローン技術を「試す」段階から、「使う」段階に移行することになるだろうと予想しました。既に2017年で数か月が過ぎましたが、今のところどうでしょうか?

私たちは既に、去年の暮れから今年にかけて、この試す段階から使う段階への移行を目にしてきたはずです。これも多くはパート107のおかげです。パート107が出る前は規制が厳しすぎ、ドローン技術について時間をかけて学ぼうとする人も、ドローンで何ができるかを調べてみようとする人もあまりいませんでした。しかし今ではその障害がなくなったため、以前は委縮していた企業がドローンの実用化に向けて動き出しているのです。

「専門家はより多くのデータを欲しがっているわけではありません。欲しいのは答えなのです。」
Jeremiah KarpowiczCommercial UAV News

一つ、報告書で書かなかったことがあります。それは実用化段階での、データという側面の重要性です。企業の専門家はより多くのデータを欲しがっているわけではありません。欲しいのは答えなのです。どのようなデータが手に入り、どのように処理され、どこでこのような結果が得られ、そしてその結果が何を意味するのか。そのようなデータを理解するのは時に難しいことがあります。専門家の多くはデータの使い方や、一番いい処理方法を考えるのに多くの時間を割いています。今年、多くの組織が取り組んでいるのはこういうことなのだと思います。

3. パート107は規制の整備という点で飛躍的な前進でした。現在の時点で、パート107は商用ドローンの使われ方にどのような影響を与えていると思われますか?改善するとしたら何をすればいいでしょうか?

パート107が発表された時のフィードバックは概ね良好なものでした。しかし一方で、人々はパート107を進むべき方向への第一歩に過ぎないと見ています。その理由は、パート107では操縦者の視界の外でのドローンの飛行や、参加者以外の人の頭上を飛行することなどを禁止しているからです。この2つが恐らく、パート107が乗り越えられていない大きな課題と言えるでしょう。

とはいえ、現在パート107にはたくさんの可能性があります。それこそが私ができる限りお伝えしようとしていることです。将来的に規制が改正されれば、操縦者はより多くのことをできるようになるでしょうが、今日のパート107で重要なのは今何ができるかということなのですから。

4. 世界中の様々な仕事場で、ドローンの役割は増えつつあります。しかし、世に広く普及しているとはまだ言えない状況です。ドローンの普及を促すためには何が必要だと思われますか?

ドローン普及の課題となっているものは主に2つあると思います。一つはドローンに何ができるか、何ができないかを把握できていないこと。2つ目はROI(投資に対する見返り)に対する確証を得られていないことです。

ドローンを使えばどんな作業でも早く、より上手に、安くこなせるのではという期待もありますが、それは間違いです。ドローンにはふさわしい場面とふさわしくない場面があります。調査員を使うのが適切な場合もありますし、ドローンの方が向いている場合もあります。ドローンを使えば早く、安くこなせる作業もありますが、何でもかんでもそうできるわけではありません。ドローンを飛ばすべき場面というのはいろいろあります。どの場面で、どうドローン技術を使うかが把握されていないことが普及の課題の一つとなっているのです。

ROI(投資収益率)に関しても、専門家からはよく質問を受けます。ROIの評価は簡単なことではありません。まだ起きていない失敗の評価など、どうすればできるでしょうか。御社のカスタマーでもあるBogh Engineering のマーク・ボー氏などは、小規模な企業を経営する立場にありますから、全ての業務を監督し、ドローンから得られるものを現場目線で知ることができます。しかし、大企業ではそういった情報が上まで上がってこない場合もあるのです。

結局、ドローンは使うべき特定の場面で役に立つツールなのです。専門家たちがこのツールを手にしたら様々なアイディアを持ち始めることでしょう。そして「もっとこうならいいのに」などと考え始めるのです。そうして彼らはいろいろなことを試し、現場で全く新しい、効率のよい作業の仕方を考えつくのです。このプロセスがドローンの普及を加速させることになるでしょう。

5. ROIに関しての質問です。建設や土木の分野であなたが目にしたドローンのユースケースで、投資の見返りを立証できるものもあったと思います。そのなかで最も興味深かったものを教えてください。

2週間のワークフローを1、2日に変貌させるという、3DRが最近の記事で紹介していた例はとても刺激的なものでした。あのような現実的な数字での議論は容易にできるものではありません。あれは最近ではあまり見ない、現実的で良い数字だったと思います。

「2週間のワークフローを1、2日に変貌させるという、3DRが最近の記事で紹介していた例はとても刺激的なものでした。あのような現実的な数字での議論は容易にできるものではありません。」
Jeremiah KarpowiczCommercial UAV News

ユースケース(用途)という話でしたら、ドローンを使って情報を集め、いざこざを終わらせたり、防止したりすることに関するものがたくさんあります。これはマーク・ボーとのインタビューで出てきた話です。マークは現場の請負業者が地均し作業に失敗してしまい、自分の失敗じゃないと証明できない限り、補償金を支払わなければいけないという事態に陥った時の話をしてくれました。結果としてドローンが証拠となり、彼は頭痛の種と余計な出費を取り除くことができたそうです。

Bogh Engineeringの作業現場で土工作業をモニターする

このユースケースはデータの収集頻度にも関係する話です。ドローンの登場前は、必要な情報を集めるために現場に赴き、調査を行える頻度というのは限られていました。例えばプロジェクトの規模によって年に一回、半年に一回といった具合です。このようにあまり頻繁に調査を行えない状態だと、その合間にいろいろなことが変わってしまったり、計画とは違ったものになってしまったりしてしまいます。そのようなことが起きるとプロジェクトの予算や施工計画にも影響が出てきてしまいます。四半期ごと、月ごと、週ごとにドローンを飛ばせるようになることで、作業現場やデータの見方が劇的に変わったり、プロジェクトに関する数字が間違っていたことに気づけたりするようになります。報酬をもっと受け取らないといけないと気づくこともあるかもしれません。ドローンを使うと、そういったことも見えてくるのです。

「四半期ごと、月ごと、週ごとにドローンを飛ばせるようになることで、作業現場やデータの見方が劇的に変わったりすることがある。」
Jeremiah KarpowiczCommercial UAV News

マーク・ボーとの話を振り返ってみます。彼は今まで手に入らなかったデータと情報にアクセスできるようになり、それによって彼と現場の他の請負業者はプロジェクトで何が起こっているのか、何をするべきなのかを把握できるようになりました。つまり、彼らは同じ目標に向けて足並みを揃えられているのです。ドローンを使うことによって、マークと請負業者は歩調を合わせることができるようになりました。多くの場合、手違いを直しやすくなったという意味合いですが。現場は忙しく、混沌としているものです。ですから、今どこに何があるかや、どこに何があるべきかなどを整理する手段があると、関係者全員が助かるのです。

6. 商用ドローン業界についてのあなたのビジョンを教えてください。どのような進化をみたいですか?

私のビジョンは先程お話したようなものです。つまり、ドローンがツールとして見られるようになること。今までのドローンは、ツールとは全く異なったものと考えられてきました。ドローンは私たちが日常的に使うツールとは異なった、素晴らしい技術だという人もいます。しかし、実際はそうではないのです。ドローンは特定のタスクのために技術者が日常的に使うツールと同じようなものなのです。

幸いなことに現在、ビジネスの世界ではドローンをこのように捉える人が増えてきています。この技術をツールだと考える人がやっと現れ始めました。これはブルドーザーやAutoCAD などのソフトウェアが登場した時と一緒です。この捉え方がさらに広まれば、ドローンの使用もより広く普及することでしょう。現場へのドローンの導入について興味を持つ人も増えるでしょうから。ドローンを導入すれば、技術者たちは「これをこうしたら良いかも」といったアイディアを持ち始めるのです。