芝本ソリューション
5月 08

土木設計を変えるドローンの技術活用

建設現場でも、ドローンの安定感のある飛行音を耳にする機会が増えてきた。上空から作業の進歩状況を確認したり、土工作業を管理したり、土量計算を行ったりなど、様々な用途に使われている。一方で、土木設計の分野でも新しいドローンのユースケースが増えてきている。デザイナーが従来の2Dでの作業から、3DデザインやBIMワークフローに移行する中、ドローンが提供してくれるリアリティキャプチャ・データがプロジェクトに大きなインパクトを与えているのだ。このようにドローンは現在、土木エンジニアのワークフローにおける最新のツールとなっており、工事現場を変えつつある。

この現象を解説するために、私たちはAutodesk社と協力してあるプロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトの目的はAutodeskの橋梁設計エンジニア、リアリティキャプチャの専門家と協力し、ドローンが建設プロジェクトに与える影響 を探ることだ。

ドローン提供先の選定

私たちは実際のプロジェクトの設計ワークフローでドローンを提供することから始めた。提供となるプロジェクトはすぐに見つかった。フェニックスの東にあるピント・クリーク橋は老朽化が進み、アリゾナ運輸局が解体と建て替えに取り組んでいた。ドローンデータはこのような大規模で、険しい渓谷に囲まれている現場では特に重宝される。実際に現場に出て、データを集めようとすると、膨大な時間がかかると同時に危険な作業が伴うが、ドローンなら素早く調査を行うことができるからだ。また人を使っての調査とは違い、ドローン調査では道路を閉鎖する必要はないため、周辺に簡単に迂回路がないこのような現場では特に重宝される。

ドローンを飛ばす

私たちはピント・クリークの現場にて、Site Scanのドローンを飛ばし、一度の飛行で全エリアをキャプチャした。ドローンの飛行時間は1時間半で、358枚の高解像度画像を撮影した。その後、画像を様々なデータに加工し、詳細な点群データをAutodeskに届け、処理してもらうことにした。

データの処理

データの処理を担当したのはAutodeskでプロダクトマネージャーを務めるラメッシュ・スリダランだ。彼は未加工の点群データをInfraWorks にインポートし、地形を抽出し、分類するための処理を施した。対象エリアには橋以外の構造物が無かった為、橋(以下紫で表示)を特定し、取り除くことは簡単であった。その後数時間の内に点群データをフィルターにかけ、点群データや標高データ、既存のインフラなどを解析し、最終的なモデルが完成した。このモデルは橋梁設計の下地となる情報を提供してくれた。

ドローンで手に入れた点群データを使用したことに関し、ラメッシュはこう語ってくれた。「(ドローンの点群データは)現場をモデリングし、設計する作業の速さや効率性、利便性を高めてくれました。質のいい詳細な情報があると、設計時に問題を容易に特定できるようになります。そうすることで、工事に関連した問題に対する解決策をより上手く提案できるようになるのです。」

新しい橋梁を設計する

InfraWorksで作成された新しい橋のコンセプト画像

設計用の点群データは準備が終わった後、Autodeskのシニア製品ラインマネージャーであるアラ・アシキアンに渡された。彼はInfraworksを使い、数時間の内に橋梁の数理モデルを作成してくれた。彼は道路の形状や地盤状況をカスタマイズし、橋梁の構成要素のパラメーターをいとも簡単に調整してくれた。この魔法のような仕事ができたのには理由がある。それぞれの構成要素のパラメーターが全て調整可能で、なおかつ動的なものだったため、設計者は大枠を保持したままで、変化を加えることができたのだ。

Infraworksを使い、新しい橋梁の構成要素のパラメーターを調節する

「ドローンデータからは情報量の豊富な点群データを作成するができます。このような点群データはパラメーターを使った橋梁のモデリングを行う際にとても便利です。」アラは言う。「ピント・クリークの点群データがあったので、周囲の渓谷や地形などの現実世界の情報に合わせて、橋を設計することができました。」

Site Scanの点群データでみる新しい橋と古い橋

詳細なデザインを行うためにRevitへ送信する

アラは橋の最終設計図をたった2クリックでAutodeskのRevitに送ることができた。Revitではより詳細なデザインを作成することができる。建設物の基礎部分は全てパラメーターを使った幾何学をもとに作成されていたので、その部分のデータは作り直しや作業のやり直しをせずに、簡単にRevitやその他のツールに出力することができた。

詳細なデザインを作成するときも、わずか2クリックで橋梁データをRevitに送ることができる

主な結果

現場状況に合わせた設計

今まで、土木エンジニアが古いデータを使って設計プロセスを開始してしまうことは日常茶飯事だった。信頼のおける点群データにアクセスできない場合もあり、そのために古い調査データや衛星画像、青写真などに頼ってしまっていたのだ。現在、ドローンがこの問題を解決しようとしている。ドローンを使えば、設計者は現場の現場状況の最新データを簡単に集めることができ、前よりも自信を持った設計ができるようになる。

共同作業や意思決定の改善

ドローンデータをInfraworksなどのツールに取り込むことで、土木エンジニアは素早く3Dでの設計を行えるようになった。また、プロジェクトの初期段階でクライアントやその他の関係者とモデルを共有することも可能だ。これによって最終決定の前にデザインに変更を加えたり、デザインを再使用したりすることが容易になった。

「容易に、素早くクライアントに3D版の設計図を見せることができれば、後で多くの変更を回避することが出来ます。」
クリス・ハルマンAtkins Engineeringの土木エンジニア

私たちは全米中のカスタマーと仕事している。土木設計を取り扱う多国籍企業であるAtkins Engineeringもその内の一社だ。Atkins Engineeringはドローンデータを設計準備ワークフローに取り入れている。Atkinsの土木エンジニアであるクリス・ハルマンはこう言う。「容易に、素早くクライアントに3D版の設計図を見せることができれば、後で多くの変更を回避することが出来ます。」

記録図を電子化する

設計の初期段階を過ぎた後でも、ドローンは価値を提供する。ドローンを使えば、請負業者は施工中でも現場を電子化することができ、記録図をオリジナルのBIMやCADモデルと比較できるようになる。これにより、修正コストが高くついたり時間がかかる前に、問題を簡単に発見することが出来ます。

建設デザインプロセスの初期段階でフィードバックをもらう場合も、より正確な3D 設計図を作成する場合も、施工段階で現場の状態を電子化し直す場合でも、ドローンやInfraworksなどのツールは全米の建設会社で欠かせないものとなりつつある。